コラム
世界FOOD紀行 vol.16 豪放磊落で知られる、北京の人々が親しむ普段着の料理とは?
主食は小麦粉中心 香味野菜がアクセント
正しい餃子の頼み方 北京の伝統的な軽食
羊肉を食べるという文化 各地方料理が本場の味で楽しめる北京
北京 China (勝又あや子・中国・北京在住10年)
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日本の約26倍という広大な国土と3000年以上に及ぶ歴史の影響で、場所によって文化や習慣・言葉すら違う中国。それは料理も同じで、ひとくちに「中華料理」といっても、味付けや調理法など地域によって異なる特色があるのです。古くから都として栄えてきた北京だけに、料理といえば北京ダックや宮廷料理が有名ですが、人々が毎日食べているのは、もっと肩の凝らない、親しみやすい中華料理。そんな普段着の北京の料理についてご紹介しましょう。
主食は小麦粉中心

北方中国の北京では、主食として小麦粉から作られるものが多く食べられています。餃子や包子はもちろん、小麦粉を練って平らに延ばして焼いた「餅」(ビン)のバラエティが実に豊富。堅焼きパイのような焼餅(シャオビン)、厚手のトルティーヤのような烙餅(ラオビン)など生地だけのものから、お焼きのような餡児餅(シアビン)、ミートパイのような肉餅(ロウビン)など餡入りのもの、具材を巻いて食べるクレープのような春餅(チュンビン)など、枚挙にいとまがありません。
主食は小麦粉中心
主食は小麦粉中心
Beijing Food

そのなかでちょっと愉快なのが、「おでき」という意味のグーダ(グーダ)という小さな麺。お肉や野菜と炒めたチチャオグーダ(チチャオグーダ)スープ仕立てにしたグーダタン(グーダタン)は、日本の焼きうどんやすいとんのような、なんとも懐かしい味わいの料理です。「おでき炒め」に「おできスープ」だなんて、北京っ子のユーモアが感じられて思わずクスリとしてしまいます。


主食は小麦粉中心
正しい餃子の頼み方
正しい餃子の頼み方
日本では餃子はおかずですが、中国では主食扱い。だから餃子のほかにご飯を頼んだりしようものなら、とてもいぶかしがられます。こちらには「餃子定食」というものはないのです。 ところで、本場の餃子は量り売り。一両(50g)単位で頼みます。50gと言えば卵一つ分。餃子一皿で何グラムかなあ・・・などと想像して頼むと、大皿にてんこ盛りの餃子が出てきてびっくりすることに。じつは、注文時の重さは小麦粉だけの重さなのです。目安は一両で餃子5〜6個程度。他のおかずとのバランスを考えて、一人2〜3両ずつになるように頼むといいですよ。 餃子を頼んだら、忘れずに餃子湯も出してもらいましょう。中国には、「原湯化原食」という言葉があり、「ゆで汁を飲むと、その食べ物の消化を助ける」と言われています。日本のそば湯と通じるところがありますね。
Chinese Dumplings
羊肉を食べるという文化

元の時代のモンゴル民族や清の時代の満州族など、羊を食べる習慣のある民族の支配を経験した北京には、庶民の食文化に羊肉が深く根付いています。羊肉串(ヤンロウチュワン=シシカバブ)やシュワンヤンロウ(シュワンヤンロウ=羊肉しゃぶしゃぶ)がその代表格。炒めものとしてもよく食べられます。
Mutton

羊肉を食べるという文化
羊肉を食べるという文化 羊肉料理で北京っ子に人気なのが、羊蠍子(ヤンシエズ)。羊の骨付き肉を使った鍋料理で、背骨の部分が蠍(サソリ)のように見えることからこの名前がついたのだそう。お醤油ベースのものと、麻辣(マーラー)と呼ばれるピリ辛風味のものがあり、どちらも人気。骨際の肉をせせったり骨髄を吸い出すように食べたりといった豪快さと、ゴロンゴロンと骨が積み上がっていくワイルドさがうけているのでしょう。お鍋の後の手打ち麺も楽しみの一つです。
香味野菜がアクセント

香味野菜がアクセント
Potherb

北京の人たちは香味野菜をよく食べます。日本でもすっかりおなじみになった香菜は、薬味以外にも、和えものや炒めもの、お鍋の具、さらには餃子や包子の餡としてもよく使われます。また、日本では生食が多いセロリも、炒めものや餃子の餡として大活躍します。 北京の香味野菜で特徴的なのが、茴香(ウイキョウ)。フェンネルの葉の部分です。やはり餃子や包子の餡として好んで使われ、また和えものとしても重宝します。青臭さが強くクセがあるので苦手な人も多いですが、いったんはまるとそれこそクセになる味です。
香味野菜がアクセント
北京の伝統的な軽食

中国には小吃(シャオチー)といって庶民が気軽に食べられるような軽食があり、北京のものは北京小吃と呼ばれます。これもまた、北京の食文化を語る上で欠かせないものの一つ。元の時代から始まる異民族支配の名残で羊や牛を使った料理が多かったり、清朝宮廷料理の影響が色濃いお菓子があったりと、北京という街がたどってきた歴史がかいま見えるのも、北京小吃ならではの醍醐味です。

市内に点在する北京小吃店ですが、後海エリアにある「九門小吃」で各店の味をまとめて味わえます。ここは北京小吃の老舗が一同に会したフードコート。いろんなお店の味を一度に食べられるオトクなスポットです。
Traditional Food

北京の伝統的な軽食
北京の伝統建築、四合院を改装した店内で、 老舗の
味をはしご!北京小吃の入門としてオススメです。
九門小吃
九門小吃
Information:
北京市西城区孝友胡同1号
Tel 6402-5858 年中無休
10:00〜20:00
各地方料理が本場の味で楽しめる北京

各地方料理が本場の味で楽しめる北京
下町情緒あふれる町並み


Local Dish

北京は中国の首都。全国からたくさんの人が上京してきます。いきおい、北京には各地の料理を本場に近い味で出すレストランがたくさん出来ることになります。四川、湖南、山西、陝西、貴州・・・こうした各地の料理は北京の人たちの普段のメニューとして定着しています。 その代表がもともと四川の名物料理として有名な“水煮魚”。たっぷりの唐辛子と花山椒を油通しし、そこに注いだスープで川魚のスライスを煮込んだ料理です。唐辛子と花山椒が一面に浮いたビジュアルはインパクト充分。ピリリとした山椒の刺激と、唐辛子のさわやかで強烈な辛さが魅力のこの料理は、今では北京っ子に欠かせない定番メニューとなっています。

沸騰魚郷(燕莎店)

Information:
北京朝陽区新源南路甲3号
Tel 8455-2333 年中無休
各地方料理が本場の味で楽しめる北京
豪放磊落(ごうほうらいらく)でおおらかな北方中国人気質をもつ北京の人々は、料理についても豪快で盛りだくさんな感覚を好みます。お皿はドーンと大きく、料理の量も大皿から溢れるくらいの大盛り、皿数もテーブルに乗りきらないくらいたくさん揃えて、大人数でわいのわいのと賑やかに食べるのが大好き。広東料理のように、凝った美しい盛りつけにこだわるような繊細さはありませんが、ちょっと素っ気なくて大雑把に感じるくらいの豪快さが、逆に北京で食べる中華料理の魅力ともいえるかもしれません。

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